学習目標(芸教)
芸術教養学科では、芸術を自由な市民の能力を拡張するための教養として捉え直し、芸術の過去現在のさまざまなありかたを世界的な視野で振り返るとともに、芸術的な活動を身近な環境で生かすための方法を学びます。
「芸術」は古くからある概念で、そもそもは人間が生まれながらに与えられた環境にはたらきかけ、それを改善するために身につけた知識や技術を指しています。それが長い歴史の過程で、近代以降は美的な作品世界を構築する技術に特化して用いられてきました。こうした限定づけは、そのなかで個人の自由な表現を遺憾なく発揮するためには必要なことでしたが、他方で芸術を特殊な領域として閉ざしてしまい、社会との距離を生じさせました。すでに19世紀から、この距離を縮めようと、何人もの優れたデザイナーや芸術家たちが活動してきました。しかし一般の市民が自分たちの手に芸術を取り戻すには、まだ途半ばです。
美的な芸術が生まれたのにはそれなりの理由があります。しかしその成果はそれなりに認めるとしても、芸術を個人の鑑賞の場面に留める必要はありません。芸術を自分の身のまわりの環境を改善する身体的な、感性的な技術としてもう一度位置づけ直し、ひとりひとりの関心と能力の特性に応じて、またそれぞれの生きる条件に応じて、より美しくより良い環境を作る意識を養うことが、本学科の何よりの目標です。
■芸術教養学科の学習目標と科目群(2014年2月15公開)