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論文・レポートを書くために

大学で論文・レポートを書く際には、いくつかのルールがあります。以下では、順に「剽窃」「レポート執筆の基本」「構成」「人名や資料の表記」「註と参考文献(書誌情報の書き方)」「著作権」について簡単に説明します。これらの作法と考え方をより深く学んでいただくため、入学後なるべく早い時期に総合教育科目「論述基礎」を受講することをお勧めします。また、文章を書くことじたいに慣れていないという方は、併せて同じく総合教育科目の「ことばと表現」にも取り組んでください。
 
(1)剽窃
まずレポート課題に取り組むに当たって、第一に意識していただきたい「剽窃」について説明します。一般の刊行物においては、文章を引用して出典を示さなかった場合、剽窃(他人の文章・語句・説などを盗んで使うこと、盗用)という不正行為にあたります。大学では、レポート課題の二次利用と剽窃に対しては単位不認定さらには退学処分も含め厳正に対応します。大学での学習の目的や意味を今一度考え、提出物の作成にあたってのルールを守り、自分自身で取り組んでください。引用する場合は、(5)註と参考文献(書誌情報の書き方)で示す註の書き方に則って、出典を正しく示してください。
インターネットやパソコンの普及に伴い、閲覧した他者のレポートや文章をそのまま自分の課題として提出するケースが発生しています。他人の著作を自分で書いた文章として二次利用すると、一切学習成果が上がらないばかりか、その著作者の権利を侵害することになってしまいます。
また自分自身が過去に書いた文章であっても、ブログやSNSなどで公開したものであれば、再利用に際しては出典の提示が必要です。自分自身の文章であっても盗用とみなされます。ブログやSNSで自分自身の意見を示している場合は、気をつけてください。
 
(2)レポート執筆の基本
大学で執筆するレポートは、中学校や高等学校で書く機会の多かった感想文とはまったく異なるものということを強く意識してください。同時に、ただ調べたことを書き連ねるだけの「調べ学習」とも違います。レポートとは「根拠」を示し、それに基づいて「考察」した報告書です。
レポートの基本の形は次のとおりです。

・段落をつける。
段落は、幾つかの文章をまとめたものです。論理的な文章を書くためには必須です。そして文章の冒頭は必ず1字あけます。行を改めた際の行頭も同様に1字あけてください。

・文末は「~である」とする。
日本語の文章では文末が「です・ます」か、「だ・である」に大きく分けられます。レポートでは後者の「だ・である」を基調として執筆してください。引用文を除き、「です・ます」と「だ・である」が混在しないように気をつけてください。

・タイトルをつける。
レポートでは、自分がどんなことを調査し考察したのかを、まず高らかに宣言する必要があります。それがタイトルです。レポートの内容を示す端的なタイトルを考えることも、レポート執筆の重要なポイントです。

・指定された字数を守る。
〇〇字程度と指示があった場合、その字数の±10パーセントを守ってください。指定字数より少なすぎるのはもちろん不十分ですが、超過するのも指定字数で適切にまとめきれていないことになります。

・問われたことのみを答える
テーマが設定されている課題では、そのテーマに焦点を絞って解答し、テーマから外れたことは書かないようにしましょう。

内容上最も重要なポイントは、「自身」と「他者」との意見を明確に区別することです。レポート執筆に際して読んだ文献を参考にする場合は、自他の意見を明確に書き分ける必要があります。無論、文献にあたらなければ、考察も出来ません。他者の意見をレポートで述べる場合は区別が付くように「註」を付けたり、「引用」するようにして下さい。註や引用の表記については4で示します。
 
(3)構成
レポート・論文は、大きな流れとしては「序論(はじめに)」「本論」「結論(おわりに)」の各部分で構成されます。数千字程度の短いレポートでは「はじめに」「第1章」「第2章」「第3章」「おわりに」などと章を区切る必要がない場合も多いです。
以下は3,200字程度のレポートのひとつの構成例です(実際の各科目の課題にすべて適合するものではありません)。

【問題設定】(序論)
まず、レポートが解き明かそうとする課題は何かを記します。何をどう明らかにしようとして論文を書くのかを、基本的には疑問形で書きます。レポートでは、この課題があらかじめ指示されている場合がほとんどです。

【先行する言説や具体例の検証】(本論)
上の問題に対してテキストやこれまでの研究書などでどのようなことが言われてきたのかを紹介し、その議論の仕方やそれが扱っている事例の妥当性を検討します(言われてこなかったことがあればそれを指摘します)。

【自分の見解の提示】(結論)
レポートの結論を提示。必ず「課題」に答える形で。わかったこと、わからなかったことを記しても良いです。
 
(4)人名や資料の表記
■人名表記
・人名の後には生没年をつける。
例)歌川広重(1797~1858)

・漢字圏以外の人名には、初出時に原綴をつける。
例)フェリックス・ベアト(Felix Beato, 1834- c.1903)(「c.」は「頃」の意味で、年代が特定できない場合に用います。)

<日本人名の略称>
・近代以前は名前や号で略す。
例)(鈴木)春信、(狩野)探幽(最初に「鈴木春信」と書いたあと、次からは「春信」のみで「鈴木」を略せます。)

・近代以降は名字で呼ぶ。
例)萬(鐵五郎)、土門(拳)

・ただし日本画の場合は号で呼ぶことが多い。
例)(竹内)栖鳳、(橋本)関雪

<外国人名の略称>
・基本的には名字。
例)ピカソ、マネ

・二つ以上繋がった名字は、全部書く。
例)ファン・ゴッホ、トゥールーズ=ロートレック

・日本語に直すときのルール
①スペースはナカグロ。
例)Pablo Picasso パブロ・ピカソ

②ハイフンは等号。
例)Jean-Luc Godard ジャン=リュック・ゴダール
 
■標準的なカッコの使い方
・「」カギカッコ引用文/論文・章の題名/シリーズ名/展覧会名などに用います。
例)論文:ヴァルター・ベンヤミン「複製技術時代の芸術作品」
シリーズ:歌川広重の「東海道五十三次」
展覧会:「進化する映像」展

・『』二重カギカッコ書名/映画の題名などに用います。
例)書名:ミシェル・フーコー『言葉と物』、映画:『羅生門』

・《》二重ヤマガッコ主に造形芸術作品名(絵画、彫刻、インスタレーションなど)に使います。
例)ベラスケスの描いた《ラス・メニーナス》では…

・〈〉ヤマガッコ強調(カギカッコでも代用可)する場合です。ただしあまり使いません。
例)明治時代に、いわゆる〈美術史〉が創出され…

・〔〕キッコウ訳註や引用元にない補足説明に用います。
例)美術とはいわゆる国家のイデオロギー装置〔ルイ・アルチュセールによる概念〕でもあり…

なお、短いレポート(1,000字前後)では人名の原綴りや生没年などは必ずしも表記しなくて構いません。重要性に応じて付記するかどうかを判断してください。
 
(5)註と参考文献(書誌情報の書き方)
レポート課題に対して、考察・調査のために指定されているテキスト・資料の他、適宜、参考文献を参照した場合、客観的な論拠として参照した参考文献を提示する必要があります。提示する方法は2通りあり、註で示す場合と参考文献欄で書名などの書誌情報を示すものがあります。

①註
註は、レポート本文で考察の論拠として参考文献の内容を示す際に用いるものです。レポート本文で参考文献の内容を記載することを「引用」といいます。引用には、さらに直接引用と間接引用があります。

■直接引用
直接引用とは、参考文献にある文言を「 」などでくくり、論拠として提示するものです。その際にレポート本文で「 」の後に(1)(2)…などを表記し、レポート本文の末尾で出典を明記します。
例)
・レポート本文:伝統とは何か。本科目のテキストで野村朋弘は「伝統とは新たに創出されたものが、普遍的な価値を持ち、永く後世に伝わること」(1)と述べている。
・レポート文末:註(1)野村朋弘編『日本文化の源流を探る』幻冬舎、2014年、p.51。

■間接引用
間接引用とは、参考文献にある文章をまとめなおし、要約して提示するものです。
例)
・レポート本文:伝統という価値観は時代によって変容する。伝統論を論じた野村朋弘は、伝統のあり方について定義を行っている(1)。
・レポート末尾:註(1)野村朋弘編『日本文化の源流を探る』幻冬舎、2014年、p.51。

直接引用をする場合は「 」に入れて出典を明記すること、また間接引用であっても、出典を明記することが必要です。出典を明記せずに引用をした場合は、剽窃とみなされます。ただし引用が多くなりすぎると、レポートの指定字数内で自分の意見を十分に示すことができなくなります。適切にまとめて引用し出典を明記することが、書き方として効果的です。

②参考文献
上記の註で示す他、レポート作成過程に関わって、参照した文献を提示するのが参考文献です。レポートの考察で直接的に参照する場合は、1.註の方法で示してください。ただし、レポート作成に関して参照した参考文献すべてを提示する必要はありません。課題の趣旨に応じて「参考とすべき文献」を提示するということに注意してください。

※ ここでは、提示方法を紹介しましたが、あくまで一般論であり、それぞれの学問領域で細かい差異があります。正確を期したい場合は、科目責任者に相談してください。
 
■書誌情報の書き方
<和書の場合>
(1)著者名、「(2)論文名」、(3)編者名『(4)本・雑誌の題名』(5)翻訳者名、(6)出版社名、(7)出版年

・単著
例)木下直之『写真画論』岩波書店、1996年。

・本の中の論文
例)北澤憲昭「文展の創設」、『境界の美術史 ~「美術」形成史ノート』ブリュッケ、2000年。

・アンソロジーの中の論文
例)港千尋「伝神絵」、小林康夫、松浦寿輝編『イメージ ~不可視なるものの強度』東京大学出版会、2000年。

・雑誌論文
例)上村博「ユートピアへのノスタルジー」、『京都造形芸術大学GENESIS』第20号、2015年。

・単著(翻訳)
例)スーザン・ソンタグ『写真論』近藤耕人訳、晶文社、1979年。

・本の中の論文(翻訳)
例)カルロ・ギンズブルグ「徴候 ~推論的範例の根元」、『神話・寓意・徴候』竹山博英訳、せりか書房、1988年。

* ただし、註の文章の中に書誌情報を埋め込む場合、題名以後はカッコで括ること。
例)J・クレーリーの「近代化する視覚」(ハル・フォスター編『視覚論』榑沼範久訳、平凡社、2000年)によれば…

<洋書の場合>
(1)著者名, “(2)論文名”,(3)編者名,ed.,(4)本・雑誌の題名(イタリック), (5)出版社のある都市名: (6)出版社名, (7)出版年

・単著
例)James R. Ryan, Picturing Empire: Photography and the Visualization of the British Empire, Chicago: University of Chicago Press, 1997.

・本の中の論文
例)Daniel J. Boorstin, “From Traveler to Tourist: The Lost Art of Travel”, The Image: or, What Happened to the American Dream, New York: Atheneum, 1962.

<ウェブサイトの場合>
例)石川清子「アルジェリア/フランス―『アルジェの女たち』をめぐる絵画と文学の対話(Ⅱ)」、『静岡文化藝術大学研究紀要』第13号、2013年。
https://ci.nii.ac.jp/els/contents110009577328.pdf?id=ART0010028860(2017年12月8日閲覧)

<電子書籍の場合>
書誌情報の記し方については印刷された文献と同じです。ただしページ数は閲覧環境によって変わるため、章、節、段落によって引用箇所を示してください。
例) 鷲田清一『素手のふるまいアートがさぐる〈未知の社会性〉』朝日新聞社出版、2016年、第6章「〈社会的なもの〉」、第2節「徴候として現れる社会」、第2段落。
 
図版の引用について
図版を複写して論文・レポートに利用する際のルールは世間では一定ではありません。市販本や雑誌論文でも図版出典が明記されていない場合があります。ただし、著作物の引用にかかわりますので、何らかの出版物から複写して図版を用いる場合は、出典を明記するように心がけてください。
図版のキャプションとして記すか、あるいは、論文・レポート末尾の図版リストに引用元や、また図版の用途によっては作例の大きさや年代、所有者などの関連情報も記してください。
 
(6)著作権
・著作権Q&Aも参考に。
芸術大学に集う私たちにとって、自身の想いを自由に表現しようとすることと、他者の表現を尊重することとは等しく大切なことです。知らず知らずのことであっても自分の表現が他者の表現を侵害することに繋がれば大変悲しいことです。ひとりひとりがお互いの制作創作活動を尊重するために必要な最低限度の知識を共有できるようairU学習ガイド > 5.学習のアドバイス > レポート作成にあたって > 著作権についてにQ&Aがまとめてあります。身近で具体的な事柄が中心ですので、よく読んで役立ててください。

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